苦しみの大きい者に施すから、功徳も大きくなります。
阿羅漢や辟支仏に施しても、果は有限で五百劫の人天報にとどまる。餓鬼に一掴みの食を善く施せば、その福徳は菩提そのもので、菩提は量れないから福寿も量れない、とあります。
百千俱胝の如来を供養する功徳と等しく差別がない、ともします。
大きくなる理由は、受け手の徳が高いからではなく、苦が極まり、喉が塞がり、しかも加持によって恒河沙に及ぶ、という三点です。
長保寺では毎日修しています
比叡山、高野山でも修行中は毎日修しています
念入りに修すなら、いくらでも増広でき、大掛かりな法要や長期にわたる修行などがあります
高野山に、施餓鬼に救われたと言って、毎晩施餓鬼していた老僧がいらっしゃいました
施餓鬼法を修すれば、餓鬼は離苦して天に生まれ、施主は延寿・福徳・無畏・布施の満足を得、回向は先亡菩提となる
向け先 | 作法 | 相手の功徳 | 施主の功徳 |
|---|---|---|---|
餓鬼 | 変食真言七遍、四如来名号、弾指七遍、浄地に瀉ぐ | 一器が各自の前で七七斛となり飽満。慳吝・醜形・窄喉・恐怖が破れ、鬼身を捨て天に生まれる | 無量の福徳。百千俱胝如来の供養に等しい。延寿、色力増益、善根具足。非人・夜叉・羅刹は侵害しない |
過去の先祖 | 同じ施の功徳を、父母・先祖の名を挙げて回向する | 直接ではなく、追善の福力を縁とする。 | 無縁を含めて施した功徳を先祖に分ける |
法界 | 名を挙げたあと、自家に閉じず一切に開く | 有縁無縁に及ぶ | 百千生の上妙楽 |
施餓鬼法は各種ありますが、最も原典に近い作法は、毎日2~3分でできます
変食真言七遍、如来名号、弾指、瀉食と短い簡単なものです
印も経典読誦もありません
時間帯は夜7時~11時が一番いいが、いつでもできる
ノウマク・サラバタタギャタ・バロキテイ・オン・サンバラサンバラ・ウン
南無多宝如来 なむたほうにょらい
南無妙色身如来 なむみょうしきしんにょらい
南無甘露王如来 なむかんろおうにょらい
南無広博身如来 なむこうばくしんにょらい
南無離怖畏如来 なむりふいにょらい
右手を軽く握り、親指と握った中指で人差し指の先を強く挟む、人差し指を素早く弾き伸ばす、親指で中指をたたく なれればパチンと鳴ります
次 器を取り、踏まれない浄地、または水際に注ぐ
桃・柳・石榴の下は避ける
器は持ち帰る。量は一器のままとする
願以此功徳、普及於一切、我等与衆生、皆共成仏道
がんにしぐどくふぎゅうおいっさい
がとうよしゅじょうかいぐじょうぶつどう
不空訳『仏説救抜焰口餓鬼陀羅尼経』の国訳です。根拠となっている経典です。
そのとき世尊は、迦毘羅城の尼俱律那僧伽藍におられ、比丘たち、菩薩たち、無数の大衆に前後を囲繞されて、ために法を説いておられた。
そのとき阿難は、ひとり静処にいて、受けた法を念じていた。すなわちその夜、三更を過ぎてのち、一人の餓鬼を見た。名を焰口という。その形は醜陋、身体は枯痩、口中には火が燃え、咽は針の先のごとく、頭髪は蓬乱し、爪牙は長く鋭く、はなはだ怖畏すべきであった。阿難の前に住まり、阿難に告げて言った。「今より三日ののち、汝の命は尽き、すなわち餓鬼の中に生まれるであろう。」
このとき阿難は、この語を聞いて、心に惶怖を生じ、餓鬼に問うて言った。「もし我、死してのち餓鬼に生まれるならば、いかなる方便を行ずれば、この苦を免れることができるか。」
そのとき餓鬼は阿難に告げて言った。「汝、明日において、もし百千那由他恒河沙数の餓鬼、ならびに百千の婆羅門仙らに布施することができ、摩伽陀国で用いる斛をもって、各々一斛の飲食を施し、あわせて我がために三宝を供養するならば、汝は寿を増し、我をして餓鬼の苦を離れ、天上に生まれることを得しめよう。」
阿難は、この焰口餓鬼の身形が羸痩し、枯れて焦げ、きわめて醜く、口中に火が燃え、咽は針の先のごとく、頭髪は蓬乱し、毛爪が長く鋭いのを見、またかくのごとく順わぬ語を聞き、はなはだ大いに驚怖し、身の毛がみな竪った。すなわち座より起き、速やかに仏のみもとに至り、五体を地に投げ、仏足を頂礼し、身体は戦慄して、仏に白して言った。「願わくは我が苦を救いたまえ。いかんぞなれば、我は静処に住まり、授けられた法を念じていたところ、焰口餓鬼を見て、我に語って言うのに、『汝、三日を過ぐれば、必ず命尽き、餓鬼の中に生まる』と。我はすなわち問うて言った。『いかんぞ我をしてこの苦を免れしめん』と。餓鬼は答えて言った。『汝、いまもし百千那由他恒河沙数の餓鬼、および百千の婆羅門仙らに種種の飲食を施すならば、汝は寿を増さん』と。世尊よ、我はいまいかんぞ、それほどの餓鬼・仙人らの食を弁ずることができようか。」
そのとき世尊は阿難に告げて言った。「汝、いま怖れることなかれ。我に方便あり。汝をして、それほどの百千恒河沙の餓鬼、および諸の婆羅門仙らに種種の飲食を施すことを得しめる。憂悩を生ずることなかれ。」
仏は阿難に告げた。「陀羅尼あり。名を無量威徳自在光明殊勝妙力という。もしこの陀羅尼を誦する者あれば、すなわち能く俱胝那由他百千恒河沙数の餓鬼、および婆羅門仙らに、上妙の飲食を充足せしめる。かくのごときらの衆は、乃至一人一人、みな摩伽陀国で用いる斛の七七斛の食を得る。阿難よ、我は前世に婆羅門となり、観世音菩薩のみもと、および世間自在威徳如来のみもとにおいて、この陀羅尼を受けたゆえに、能く無量の餓鬼および諸仙らに種種の飲食を散施し、諸の餓鬼をして苦身を解脱し、天上に生まれることを得しめた。阿難よ、汝いま受持せよ。福徳・寿命はみな増長を得ん。」
そのとき世尊は、すなわち阿難のために陀羅尼を説いて言った。
那謨薩嚩怛他蘖多嚩盧枳帝唵参婆囉参婆囉吽
ノウマクサラバタタギャタ バロキテイ オン サンバラサンバラ ウン
仏は阿難に告げた。「もし善男子・善女人あって、長寿・福徳の増栄を求め、速やかに能く檀波羅蜜を満足せんと欲するならば、毎に晨朝、および一切の時において、ことごとく障礙なく、一つの浄器を取り、浄水を盛り、少々の飯・麨および諸の餅食等を置き、右手をもって器に加え、前の陀羅尼を誦すること満七遍して、しかるのち四如来の名号を称せよ。
曩謨婆誐嚩帝鉢囉枳孃部多囉怛曩怛他孽多也(これを多宝如来という)
南無多宝如来
多宝如来の名号を称して加持するにより、能く一切の諸鬼の、多生よりこのかたの慳悋の悪業を破り、すなわち福徳円満を得しめる。
那謨婆誐嚩帝素嚕波耶怛他誐哆野(これを妙色身如来という)
南無妙色身如来
妙色身如来の名号を称して加持するにより、能く諸鬼の醜陋の悪形を破り、すなわち色相具足を得しめる。
曩謨婆誐嚩帝尾鉢囉誐攞孽多怛囉也怛他孽多也(これを広博身如来という)
南無広博身如来
広博身如来の名号を称して加持するにより、能く諸鬼の咽喉を寛大ならしめ、施すところの食を、意のままに充飽せしめる。
曩謨婆誐嚩帝阿婆孕迦囉也怛他蘖多也(これを離怖畏如来という)
南無離怖畏如来
離怖畏如来の名号を称して加持するにより、能く諸鬼の一切の恐怖をことごとく除滅し、餓鬼の趣を離れしめる。」
仏は阿難に告げた。「もし族姓の善男子ら、すでに四如来の名号を称して加持しおわらば、弾指七遍し、食器を取り、浄地の上において、臂を展べてこれを瀉げ。この施をなせば、その四方に、百千那由他恒河沙数の餓鬼あり、前に各々摩伽陀国の七七斛の食がある。この食を受けおわれば、ことごとくみな飽満し、この諸鬼らは、ことごとく鬼身を捨て、天上に生まれる。
阿難よ、もし比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷あって、常にこの密言および四如来の名号をもって食を加持し、鬼に施すならば、すなわち能く無量の福徳を具足し、すなわち百千俱胝の如来を供養する功徳と等しくして差別なく、寿命は延長し、色力を増益し、善根具足し、一切の非人・夜叉・羅刹・諸の悪鬼神はあえて侵害せず、また能く無量の福徳・寿命を成就する。
もし諸の婆羅門仙らに施さんと欲するならば、浄き飲食をもって一器に満たし、すなわち前の密言をもって加持すること二七遍し、浄き流水の中に投ぜよ。かくのごとくなしおわれば、すなわち天仙の美妙の食をもって、百千俱胝恒河沙数の婆羅門仙を供養するものとなる。かの諸仙人は加持の食を得るゆえに、密言の威徳をもって、おのおの根本の所願・諸の善功徳を成就し、おのおの同時に誓願を発して言う。『願わくはこの食を施す人をして、寿を延長し、色力安楽ならしめよ。またその人をして、心の見聞するところ、正解清浄にして、梵天の威徳を具足成就し、梵天の行を行ぜしめよ。また百千恒河沙の如来を供養する功徳に同じ、一切の冤讎は侵害すること能わず』と。
もし比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷、仏・法・僧の宝を供養せんと欲するならば、まさに香・華および浄き飲食をもって、前の密言により加持すること二十一遍し、三宝に奉献すべし。この善男子・善女人は、すなわち天の肴膳・上味をもって、十方界に満てる仏・法・僧宝に奉献供養するものと成り、また讃歎・勧請・随喜の功徳をなし、恒に諸仏のために憶念称讃され、諸天・善神は恒に来たりて擁護し、すなわち檀波羅蜜を満足するものとなる。
阿難よ、汝、我が語に随い、法のごとく修行し、広く宣べ流布し、諸の衆生をして普く見聞を得、無量の福を獲しめるべし。これを救焰口餓鬼および苦衆生陀羅尼経と名づく。この名字をもって、汝まさに奉持すべし。」
一切の大衆および阿難らは、仏の説を聞きおわり、一心に信受し、歓喜して奉行した。
