尊形金剛界曼荼羅図

金剛界と胎蔵がそろうと、両界曼荼羅といいます
金剛界曼荼羅が唯識系(南インド)の仏教哲学が大成されたもので、胎蔵曼荼羅が空観系(北インド)の仏教哲学が大成されたものです
現在は、両界曼荼羅をワンセットとしていますが、もともとは別系統のものです
いっしょにしたのは、空海です
ですから、密教を集大成したのは空海である、ともいえます

インドでは13世紀頃のイスラムの侵略で、仏教は全く途絶してしまいます

チベットへ流伝した密教は、ヒンドゥーの影響を色濃く受け、日本の鎌倉仏教のような鮮烈な仏教から見れば、オドロオドロしいものになっていきます
僕は、チベット仏教はあまりに観念的になりすぎて、現実離れした宗教になって、中国共産党に国を奪われるようなことになったのだと考えています
大陸では、お花畑の中の平和は許されないのでしょう

中国では、会昌の廃仏といわれる、道教による廃仏と、近代の中国共産党による破壊で、仏教の伝統が途切れてしまいました
現在では、復活しつつありますが、予断を許しませんね

僕は、中国には何回も行って、実地に見てきていますが、草の根で強い信仰心が守られています
弾圧がありますから、かえって、信仰心がつよくなるのかもしれません

インド、中国では、両界曼荼羅は失われてしまって、存在しません

大陸で失われた仏教が、東の日本で生きながらえて、伝統をつないでいるわけです
インド、中国、日本と東に向かって進んできました
そして、インド、中国で仏教が失われてしまいます
これを、仏教東漸といいます
理屈では、これからアメリカへ渡り、ヨーロッパに進むことになってます

まあ、まだ日本では仏教は失われてないですけど、どうなりますかね

尊形金剛界曼荼羅図
絹本著色 縦104.0 横90.5      
江戸中期(天明3(1783)年)

通形の両界曼荼羅図で、長保寺第7世徳因(天明8年(1788)まで在職)が、長保寺の什物として京都の仏画師に描かせたもので、天明3年の箱書がある。


和歌山県立博物館「長保寺の仏画と経典」より

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